大判例

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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和29年(う)201号 判決

原判決挙示の証拠を綜合すれば、原判示の事実を肯認するに十分である。弁護人は、「被告人は大谷静子を強て姦淫したものでなく、同女と、合意による情交関係を結んだものに過ぎない。」旨主張するけれども、原判決援用の諸証拠、殊に、原審第二回公判調書中証人大谷静子の供述記載を検討すれば(一)被告人は、大谷静子を知るようになつてから、未だ一両日を経ないうち、早くも本件事犯を惹起するに至つたものであり、当時右静子に於て、被告人と情交関係を結ぼうとする意思を、全く持つて居なかつたこと、(二)被告人は、勤務先より帰宅せんとする静子に同伴随行し、機を伺つて同女の手を捕え、引摺るようにして原判示の場所に静子を連行し、仰向けに押倒す等の暴行を同女に加え、「警察が何だ、殺して仕舞うぞ」等と申向けてこれを脅迫し、その反抗を抑圧した上大谷静子を強て姦淫し、その際右暴行により同女に対し、原判示の如き傷害を負わしめたものであることを認定するに足るから、弁護人の前記の主張は、到底これを認容することが出来ない。なお、原判決を閲するに、原判決理由中、犯罪事実摘示の部分に、本件犯行の日として、昭和二十八年九月十日なる記載の存することは、まことに所論の通りであるけれども、判示引用の諸資料を綜合すれば、右は昭和二十八年九月十七日頃の誤記であることが明かであり、従つて、原判決は事実を誤認したものと言うを得ないのみならず、斯る明白な誤記の存在は、毫も判決に影響するところがないから、此の点に関する論旨も採用の限りでない。

(裁判長判事 水上尚信 判事 成智寿朗 判事 沢田哲夫)

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